2020年春,国内におけるCOVID-19の感染拡大により,全国的に大学の授業がオンラインにて実施されるようになった.座学の授業であれば,オンライン授業でも十分な学習効果をあげられると考えられるが,体育実技の場合,そうはいかない.ましてや体操やヨガなどの道具を用いなくとも実施可能な内容ではなく,ゴールやボールを用いるバスケットボールの実技授業をオンラインで実施することは困難を極めた.本稿では,Zoomを用いたオンライン授業におけるバスケットボールの実践とその可能性について報告した.Zoomを用いたオンライン授業では,画面共有機能やチャット機能,「手を挙げる・降ろす」機能,ブレイクアウトルーム機能,ホワイトボード機能などのZoomに備わる各種機能の活用が有効であった.また,動画によるルールやスキルの説明が効果的であり,制限された環境下における動画作成では,可動式のマネキンやNBA 2Kの映像,LEGO,NBAプレーヤーのフィギュアの活用が有効であった.さらに,パーカーのアームとボディ部分を丸めてフードに詰め込み,紐を縛って作るパーカーボールの考案により,オンラインで実施可能な実技の幅が各段に広がり,ドリブルやパス,ショットの授業では各スキルを構成する要素を抜き出して実施した.今回のオンライン授業の成果は,バスケットボールの実技をオンラインで実施する可能性がいくらか見出せたことであろう.実際に受講生はオンライン上でボールを使って実技を行い,相手プレーヤーと駆け引きをし,味方プレーヤーとコミュニケーションをとり,チームメイトと協力してオフェンス戦術について思考を巡らせた.