2022 年 71 巻 9 号 p. 449-460
合成高分子は,一般的に分子量分布を有し,さらに複数のモノマーから構成される共重合体では組成分布を生じることが多く,これらの分子構造の違いを詳細に解析することは重要である.組成分布については,溶媒グラジエントHPLCのひとつである,GPEC(Gradient Polymer Elution Chromatography)が有効であり,さらにこれとサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を組み合わせた二次元液体クロマトグラフィー(2D-HPLC)は,組成分布と分子量分布を同時に評価できる,非常に優れた分析方法である.本研究では,GPECや,2D-HPLCを用いて,アクリル系高分子ブレンド試料の組成分離と各構成高分子の分子量解析,さらに,エチレン─酢酸ビニル共重合体(EVA)等の共重合体の組成分布解析を行った.その結果,2D-HPLCは,高分子の組成分布評価にとって非常に有効な手法であることが確認できた.