スズメによる農作物の食害に対して糸状の資材を張ることによる侵入防止が試みられているが、その効果については明らかになっていない。糸の色や形状の違いにより侵入頻度に違いがあるのかを飼育下のスズメ10羽を用いて試験した。縦1 m、横2 m、高さ1 mの直方形の枠の上面からのみスズメが侵入できるようにし、30 cm間隔の平行張りで、2016年は透明テグス、黒色ワイヤー、ピンク水糸、黒色防鳥糸、赤銀防鳥テープ、金銀防鳥テープ、黄色防鳥糸を、2018年は白ミシン糸、蛍光赤水糸、白たこ糸、蛍光黄緑水糸、黄色防鳥糸を張り、枠の中に餌を置いて1日4時間の試験における侵入回数を各5回計測した。2016年、2018年の試験とも、これらの糸類を張らない時に比べ、糸類を張った時は有意に侵入回数が減ったが、色や形状によって侵入回数に差は見られなかった。
展示モルモット22匹(去勢雄14匹、雌8匹)を用いて、先導追従行動の発現時における立ち止まり行動の発現回数および個体数、観覧者の観覧場所(エリアA、B、CおよびD)および各場所における観覧者数、展示モルモットの月齢および性の関連性について検討した。往路時のエリアAの観覧者数とエリアBの展示モルモットの立ち止まり回数に有意に高い負の相関関係がみられた(P <0.01)。復路時のエリアDの観覧者数とエリアCの展示モルモットの立ち止まり回数に有意に高い負の相関関係がみられた(P <0.05)。また、エリアDの観覧者数とエリアDのモルモットの立ち止まり回数に有意に高い正の相関関係がみられた(P <0.05)。これらのことから、展示モルモットが先導追従行動を発現させるイベントにおける立ち止まり行動は、展示モルモットの移動通路の構造よりも観覧者の観覧場所と観覧者数の影響を受けている可能性が示唆された。
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