2019 年 67 巻 7 号 p. 233-238
超小型衛星向けの推進系の開発が世界中で行われつつある中,世界初の50 kg級の超小型深宇宙探査ミッションPROCYONのように,実際に科学・探査ミッションを行うために,実証目的ではなくミッション要求を満たせるような推進系を搭載する例も出てきている.本稿では,東京大学におけるこれまでのミッション経験や検討中の将来ミッションをベースに,今後の宇宙科学・探査ミッションの例として,小天体探査・惑星探査等の深宇宙探査ミッションや,フォーメーションフライトミッションを取り上げ,今後必要となるであろう超小型推進系の性能例やその考え方を提示した.超小型衛星ミッションでは,厳しいリソース制約の中で設計を最適化する必要があるため,推進系には,スラスタ単独の性能向上以外の観点での要求が多数存在する.今後,探査機システム側との密な連携により,真に使い勝手のよい高性能な推進系の研究開発が進むことを期待したい.