日本航空宇宙学会誌
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特集 大電力電気推進が拓くオール電化衛星 第2回
全電化衛星の世界動向
杵淵 紀世志
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2017 年 65 巻 9 号 p. 274-279

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抄録

全電化静止衛星では推進系としてイオンエンジン,ホールスラスタ等の電気推進のみを搭載し,軌道保持のみならず軌道上昇も電気推進にて行う.これにより従来の化学推進系に比して,長い遷移期間を要するものの大幅に搭載推薬量を削減することができる.2015年,米にて世界初の全電化静止衛星が打上げられ,イオンエンジンによる約半年間の軌道上昇後,静止軌道に到達した.これに追従すべく,各国で全電化静止衛星およびそれに搭載される電気推進の研究開発が活発化している.ホールスラスタはその高推力電力比により3~4カ月程度の短期間遷移を実現でき,さらに低コスト,ロバスト等の特徴も有し,全電化衛星向け電気推進の最有力候補とされる.本稿では全電化静止衛星の世界動向を俯瞰するとともに,全電化衛星への搭載が計画されているホールスラスタの開発動向についても概説する.

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© 2017 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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