2016 年 64 巻 10 号 p. 293-298
ドローンのさらなる小型化を目指し,昆虫の羽ばたき飛行を模倣した超小型飛翔体(MAV)の開発が盛んになっている.しかし,世界でトップクラスの性能を持つ羽ばたき型MAVにおいても,未だ昆虫の飛翔能力のレベルには達していない.本研究では,生物とMAVとのギャップを埋める技術として,羽ばたき翼の翼形状を常に最適に変形させるモーフィングに着目し,ハチの羽ばたき翼からヒントを得たヒンジ型モーフィング羽ばたき翼を提案した.それは前後2枚の翼をヒンジで接続した羽ばたき翼で構成され,羽ばたき中にそのヒンジ角をアクティブに制御することで,翼キャンバを各ストロークで最適に変化させ,従来の平板羽ばたき翼よりも大幅な空力性能の向上が見込める.本稿では,数値流体力学により明らかにしたヒンジ型モーフィング羽ばたき翼の空力特性とその有効性について紹介する.