睡眠と環境
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Print ISSN : 1340-8275
総説論文
沖縄の児童における睡眠教育の実践とその効果
笹澤 吉明姜 東植小林 稔
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2020 年 15 巻 1 号 p. 54-59

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抄録
全国学力・学習状況調査によって明らかとなった,沖縄県の児童生徒の学力問題に対して,沖縄県の児童の学力向上を目指した睡眠介入研究を2012 年度,2015 年度,2017 年度と3 度に亘って実施した。2012 年度は児童のみ,2015 年度及び2017 年度は児童と保護者に対して睡眠の介入を行った。睡眠の介入内容はいずれの年度も,睡眠日誌とクイズ形式の睡眠の授業を,2012 年度は4 ヶ月間,2015 年度,2017 年度は1 ヶ月間行った。2017 年度はWeb アプリケーションを用いて電子化された睡眠日誌とe ラーニングによる睡眠教育を実施した。その結果,2012 年度,2015 年度ともに,介入群は対照群に比べ,睡眠時間や睡眠の質が有意に改善し,国語,算数,理科,社会の学力に有意な向上がみられた。2017 年度は,Web アプリケーションのログインなどの操作性や,睡眠教育への動機づけの低さから,数組の参加に留まる結果となった。学校現場における睡眠介入のポピュレーションアプローチにおいて,直接対面する授業や紙媒体による睡眠日誌の方法が,Web アプリケーションよりも有効であることが示唆された。
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© 2020 一般社団法人日本睡眠環境学会
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