抄録
どのような粒子が生物膜支持体として適しているかを明らかにするため, 酢酸を基質として用い固定床メタン発酵槽のスタートアップ挙動が研究された.2種の異なった表面および細孔特性を持っ充填粒子, 即ち, 0.5mm以下の直径のへこみを持つ素焼きケイ藻土粒子および0.41-0.82mmのマクロ孔を持つ多孔質セラミック粒子が生物膜支持粒子として試験された.
ケイ藻土粒子を充填した反応器ではメタン転換率が到達可能な理論値50%近い価に到達するまでに20週近くかかった, 一方多孔質セラミック粒子を充填した反応器では5週でメタン収率は同一の値となった.長期に馴養した場合には両反応器はメタン転換率50%, COD除去率95%以上で表される類似な反応器成績を示した.多孔質セラミック粒子がケイ藻土粒子に比べて優れたスタートアップ成績を示した理由は初期の種汚泥の大部分が粒子のマクロ孔に捕えられて培地の抜き出しに伴われる流出が防止されたためと思われる.両固定床反応器は, 床が長期馴養されて十分な量の微生物が充填担体粒子に付着しているなら, 3.4g・l-1・d-1までの基質負荷に対し95%以上のCOD除去率, 約50%のメタン転換率となるような良い反応器成績を示した.