2020 年 57 巻 5 号 p. 415-420
上肢リハビリテーション支援ロボット(以下,上肢ロボット)の開発と実用化が近年急速に加速し,治療のエビデンスも徐々に増加しその効果が期待されている.上肢ロボットによる治療は,脳の可塑性を誘導するための訓練課題の繰り返し回数を確保できる点において,従来のリハビリテーション治療より優れているといえる.しかしながら,上肢ロボット治療が上肢活動の改善につながるかどうかは今後の重要な検討課題である.運動学習理論を応用したCI療法をベースに上肢ロボット治療をはじめとした各種治療を複合的に併用することで,上肢活動の日常生活への汎化を含めた上肢機能再建が可能と考えられる.