地理学評論
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インナーエリア地区における住宅更新と人口高齢化に関する一考察-東京都荒川区を事例に
長沼 佐枝
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2003 年 76 巻 7 号 p. 522-536

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抄録
本研究は,インナーエリア地区において住宅更新が人口高齢化に及ぼす影響を明らかにすることを目指した.ここで得られた知見は,以下の2点である.(1)この地区で,三世代同居を行うには,住宅更新が前提となるが,土地利用上の問題と土地・建物に関する非現実的な法規制が,住宅更新を事実上難しいものにしている.このため,第二世代は結婚・就職の機会に家から域外へ転出している.このことが,各家の住宅更新意欲をさらに低下させ,ますます住宅更新が進まない状況を作り出している.(2)加えて,このような現状において,第一世代と第二世代の職業やライフスタイルの違いから,第二世代が第一世代の近隣に住む可能性は低く,第二世代が将来的にも戻らないならば,ますます住宅更新は進まないと考えられる.以上のように,この地区では高齢者のみから構成される家が増え,人口高齢化が進んでいる.
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© 公益社団法人 日本地理学会
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